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ザ サンズ熊本城公園
所在地:熊本県熊本市
竣工:2025年3月
構造・規模:鉄筋コンクリート造
13階建 168戸






熊本を象徴する熊本城。その城域内に立つ唯一の分譲マンションです。学校からも路面電車の停車場からも近く、「この先、二度とないかもしれない」と思えるほどの好立地。共同事業ながらも穴吹工務店の強みを十分に発揮して、近隣の住人からも認められるシンボリックなマンションを完成させました。
Y.K
2017年入社
T.M
1991年入社
T.K
2001年入社
H.H
2021年入社
Y.S
2003年入社
K.N
2001年入社
開発について
この先に二度とないかもしれない「熊本城内域」という貴重な立地。歴代担当者が築いた不動産業者との信頼関係を生かして土地取得に成功しました。また、大規模な物件ながらも、共同事業の形を取ることでリスクを分散させてプロジェクトを推進しました。
開発T.M
プロジェクトのきっかけとなったのは、地元の不動産業者からの問い合わせでした。聞いてみれば、熊本城に隣接する素晴らしい立地の物件が売りに出されるとのこと。学校や路面電車の停留所も近く、非常に興味を引かれました。穴吹工務店にまっ先に声をかけてもらえたのは、歴代担当者が築いてきた地元の不動産業者との信頼関係のおかげです。ただ、売主の希望額では採算確保が難しかったため、信頼関係を生かして情報収集を行いながら価格交渉を進めることにしました。この信頼関係を、次の世代に引き継ごうとしています。
開発Y.K
地元の不動産会社の方には、本当によくしてもらっています。ここまでの関係を築くことができる秘訣って何でしょうか?
開発T.M
秘訣は駆け引きをせずに、誠実に取引することですね。このケースでも「この価格では購入できない」と正直にお伝えしました。そこから少し時間がかかりましたが、売主の事業計画の中で金額を下げることになり、うまく折り合うタイミングが訪れたわけです。最終的には現地視察を行った先代社長が、その場で購入を決断しました。優に100戸を超える規模なので1社で担うには負担が大きいとの懸念がありましたので、開発部で共同事業者を探して、西日本鉄道さまとの共同プロジェクトとなりました。
開発Y.K
私が熊本に赴任したときには、もう販売が始まっている段階でした。私は施工部門と連携しながら建物が建つことで発生した電波障害の対応などを行いました。後半からの参加ではありましたが、それでもこのプロジェクトに関われたことを光栄に思っています。
設計について
熊本城に隣接する立地を生かすために、部署を超えて意見を交換させながら、建物のコンセプトを考案。周りの景観との調和を大切にした外観、城を連想させるエントランスなど、この場所にふさわしいデザインが生まれました。
設計T.K
設計で一番配慮したのは、周辺の環境や景観に調和することと、安心安全に暮らせる動線計画です。私はこのプロジェクトで初めて熊本に赴任したので、まずは熊本城の周辺や街の中をたくさん歩いて、自分の目で街の様子を観察しました。その中で「城・水・緑・街」の4つのキーワードをコンセプトにすることに決めました。また、168戸の大規模な建物になるため、威圧感を軽減させ、熊本城周辺の景観に溶け込ませるために、建物を3層に分けて上階ほど明るい色になるグラデーションの外観を採用しました。
開発T.M
ほかにも石垣を思わせるエントランスや水盤など、非常に印象的なデザインになりました。土地の形状からL字型の建物になるのは想定されていましたよね。
設計T.K
建物がL字型になることと、2mほどの高低差を解消することも前提でした。おそらくマンションに住まわれている方は、高低差があることを感じていないと思います。
施工Y.S
施工部門からは「施工性」についての要望を出しました。例えば、工事車両が入りやすい設計になっているかどうか。こんなことから建築コストが変わってきますから。
開発T.M
今回は共同事業でしたので、私たち開発部門は事業主の立場からしっかりコスト管理を行っていました。設計段階でも、それぞれの要素の妥当性などをT.Kさんに確認しました。
設計T.K
さまざまな立場からの要望を集約して、設計に落とし込んでいます。いろいろな視点から意見をもらえることは、設計にとってありがたいことです。設計だけでマンションを考えているのではなくて、プロジェクトに関わる全員でより良くなるように考えるのが穴吹工務店なんですよね。今、振り返ってみると、最初に自分が考えていたプランから、どんどん磨かれていったことがわかります。
施工について
物価高騰により建設コストが上昇する中、柔軟に仮設計画を最適化させて施工の効率化を図りました。協力業者さまたちとのコミュニケーションを充実させることで、風通しが良く、気持ちよく働ける現場環境を維持しました。
施工Y.S
168戸の大きな物件です。当たり前のことですが、何よりも約2年間にわたる建設期間中、安全管理を徹底しました。また、協力業者さまの数も多いので、いつも以上にコミュニケーションを充実させました。休日にはゴルフ大会なども開催しましたね。大変だったのは、コスト管理です。物価高騰により建設中に資材などのコストが上がっていたので、品質を維持しながら実行予算内に収めるための方法を模索しました。
施工H.H
私は、着工から竣工、引き渡しまでを一貫して担当するのが初めての経験でした。そういう意味でも強い思い入れがあります。現場では騒音や粉塵の飛散を抑制するために仮囲いを行いますが、その仮設計画を担当しました。
施工Y.S
今回のような変形の土地では、仮設計画がより重要になります。工事の進捗に合わせて仮囲いや重機の配置計画を段階的に最適化することで、効率よく工事を進められる環境を維持できます。H.Hさんが行ったのは、工事全体に関わる重要な仕事でした。
施工H.H
現場では、完成していった全室のチェックを毎朝行っています。168戸というのは、普段手がけている物件の3倍近いボリュームです。そうなると、移動距離だけでもなかなかのもので時間もかかります。そのような規模による現場感覚の違いを実感できたことも貴重な経験です。
施工Y.S
そうそう。施工中は、設計職のT.Kさんが頻繁に現場に顔を出してくれました。細かな仕様や収まりを確認しながら施工を進められたので助かりました。
設計T.K
注目度が高く、規模の大きな物件でしたので、何度も現場に足を運ばせてもらいました。そこで感じたのは、現場の雰囲気の良さです。現場の雰囲気がいいと、やっぱり協力業者さまも働きやすい。あれは作業所長であるY.Sさんの手腕ですね。
販売について
今回のケースでは販売代理会社に販売を委託する体制となりました。
その中でも、委託先に穴吹工務店の自社一貫体制による強みを共有し、
開発・設計・施工にかける情熱をストーリーとして伝える販売戦略をとりました。
販売K.N
「ザ サンズ熊本城公園」については、営業を外部委託しています。今回、私は販売の管理という立場で関わりました。好条件の立地ではありましたが、エリア一帯のマンション供給数は過剰気味。「これは、少し苦戦するかも」というのが私の当初の見立てです。実際に販売を開始したところ、悪くはないが良くもないという滑り出しでした。
開発T.M
今回は外部委託ということで、自社一貫施工である穴吹工務店のマンションの良さが、販売担当と共有できていないという課題があったかもしれませんね。
販売K.N
そうなんです。自社一貫施工には、彼らが普段扱っているマンションにはない価値があります。対応の早さやグループ会社(大京およびその子会社)全体で行うアフターケアの安心などをしっかり伝えました。また、開発・設計・施工の各部署のこだわりや情熱を「ストーリー」として伝えて、販売トークに深みをもたせる戦略をとりました。デザイン一つ一つに込められている私たちの思い。その話を聞く前と聞いた後では、売り方が変わってきます。私たちが普段から当たり前に行っている「思いを共有すること」が、販売する上でいかに重要であるかを再認識しました。だからY.Sさんから聞いた、近隣住人の方の話もすぐに共有しました。
施工Y.S
あの話ですね。私が完成間近の建物の前で植栽の確認をしていた際に、近隣にお住まいの年配の男性が近づいてこられて「立派なものができたなあ。これでこの町の価値も上がる。ありがとう」と声をかけてくださったんです。
販売K.N
この言葉は、プロジェクトに関わった全員の喜びと励みになりました。販売をする上でも、自信につながったと思います。おかげで販売も加速して、現在は計画どおり順調に進んでいます。
プロジェクトまとめ
熊本のシンボルである熊本城。その城域内にある唯一の分譲マンション「ザ サンズ熊本城公園」は、特別な存在感があります。 プロジェクトに関わることで感じた思いを語り合いました。
開発Y.K
熊本で不動産関係の方と話をしていると、必ずと言っていいほど「ザ サンズ熊本城公園」の話題が出ます。多くの方に注目されていることは間違いありません。熊本では、穴吹工務店を代表する物件になったと確信しています。
施工H.H
先ほども話しましたが、初めて施工から引き渡しまで一貫して関わった物件です。大変なこともありましたが、自分の成長を実感できました。わが子のように愛着のある物件なので、完成後も建物を見守り続けています。
開発T.M
視察に来た先代の社長と土地購入の話をしたのが雨の中立ち寄ったコンビニでした。あれから、あっという間の4年間でした。完成した建物を見て、熊本城にふさわしいシンボリックな建物になったことを嬉しく思いました。
販売K.N
私はたまに、熊本城の二の丸あたりを歩いて帰ります。その時に見上げる「ザ サンズ熊本城公園」は、ほれぼれするほど美しいです。熊本城の名を冠するにふさわしい物件になったと、素直に思えます。
設計T.K
Y.Sさんの話にあったように、近隣の方に温かく受け入れられたことが何より嬉しいです。規模が大きいのでそれぞれの部署に苦労がありましたが、それでも全員がプロジェクトの目的とゴールを共有し続け、取り組むことができました。これが、プロジェクト成功の最大の要因だったように思います。
施工Y.S
T.Kさんから設計プランを見せてもらった時に、やけどするほどの熱意を感じました。22年間施工の現場に立ち続けた私の中でも、一番熱い物件です。困難は多々ありましたが、すごく楽しく、充実した2年間でした。
※上記の内容はすべて取材当時(2025年5月)の情報になりますのでご了承ください。
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所在地:熊本県熊本市
竣工:2025年3月
構造・規模:鉄筋コンクリート造
13階建 168戸